ショート

□零崎咎識の人間苦悩
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「…あれ、雪織何処行った?」



前に騒いでいた漫画を借りたから見せてやろうと探していたが、本人の影も形も見当たらない。







「なー大将、雪織何処にいるか知ってるか?」



居間に居た大将に聞いてみると、複雑そうな面持ちで「雪織なら出かけたっちゃ…」と教えてくれる。




…出かけたって?





「何処にだよ?

 あの引きこもり予備軍が出かけるなんざ、よっぽどの事だろ…」

「…クロのところっちゃ。」

「げ、マジで?」

「嘘言ってどうするっちゃ。

 さっき雪織に電話がかかってきてたっちゃ。」




多分夜まで帰ってこないっちゃよ。











道理で機嫌が悪いはずだ。








クロもとい、零崎咎識は少々変わっている殺人鬼だった。





そのうちでもっとも特徴的なのが、人間をブタと呼びブタと見下す、非社交的態度。



家賊もしっかりその範囲に入っているらしく、人識は初対面で早々に門前払いをくらった記憶がある。





「ブタならブタなりに手土産でも持って来い、礼儀知らず野郎が。」




その言葉と共にバタリと閉じた扉が、色んな意味で忘れられない。














しかしそんな零崎咎識も、何故か零崎一賊の末妹雪織とは不思議なほど仲が良いらしい。


気がついたら養子縁組まで済ませていた。


スピード婚ならぬスピード縁組だ。





仕事が忙しい咎識の都合上一緒に住むのは無理らしいが、時折こうやって遊びに来いと連絡が来る。

そのまるで子離れの出来ていない親の様な態度に、一賊の全員が驚愕したのは言うまでもない。


ありえない速さの縁組もあり、最早そのネタは伝説になりかけていた。












ふぅ、と大将が重いため息を吐いた。



「暫く帰ってこないっちゃよ。用があるなら諦めろっちゃ。」



「いや別に大した用じゃなかったからいいんだけどよ…。」









…やっぱり何だか面白くない。






知らないうちに寄っていた眉に気付く事無く人識は居間を去った。







しかしよく見れば、舞織も兄貴も曲識のにーちゃんも、皆揃って不機嫌だ。










…雪織、早く帰って来い。

家の雰囲気がとんでも無く重い。






零崎的ブルーデイ。


(楽しそうに僕らの元を去っていく君がかなしくて、)

(引き止めることもできないけれど)




―――――

こここここここんなのシリーズ第一話に持ってくるなって!

知ってる、でもこれが精一杯なんだよ!



咎識さんと雪織が親子の親交を深めている間、奴らはきっとこんな感じに拗ねている…。

なんかもう趣旨がちげぇ!



一応戸籍上もちゃんと親子。
ちなみに咎識さんは作家さんです、超売れっ子の。
だから忙しいのね。

二つ名は嗜眠事変(モノクロームリベリオン)、だからクロ。
言っておくが考えたのは私ではなく二つ名メーカーです。私こんなむずいの思いつかないよ?





そして補足の長さに絶望。

…精進します。

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